親がいても子は育つ
院長ブログ
上記の文は無頼派の文豪 坂口安吾が述べた言葉です。言い換えると、子供は親の思うようにはいくら頑張っても育たないということです。父子鷹でプロ野球選手を目指して、その夢を実現し、今は大リーグで活躍しているイチロー選手は極めて例外的な存在です。
家族相談などをうけるとき申し上げることもありますが、それだけで終わっては身もふたもない話です。精神科医は人がいろいろな意味で変わることを援助する仕事だからです。
たまたまご相談に来られた時期というのはその人の行動を変えたい、変わってほしいと思っている時期です。当事者の方が何とか自分の生き方を変えたいと思っている時期と一致すると変わることがあります。
しかも180°変わることが多いです。不登校だったお子さんが学校に行き出し喜んでいたら、また行かなくなりがっかりしたり、アルコールで問題を繰り返していたご主人が全くアルコールを飲まなくなったと思ったら、また酒を飲みだし怒りや落胆させられます。治ったと思ったのに騙されたと思う方も少なくないようです。しかし、少し変わるというのは意外に難しいことなのです。そう思うと180°変わることの方が楽なのだと思って、何らかの方向づけの「ちから」が働いているだと考え、見守ってじっくり構えていられればよいのではないかと思います。